あらすじとイラストでわかる哲学/図説世界を変えた50の哲学
以前から興味があった「哲学」について。
どこから手をつけていいのかわからなかったので、俯瞰した入門書を。
面白かったけど、疲れる。哲学は読むのに、理解するのに、時間がかかるし、疲れる。
あらすじとイラストでわかる哲学―古代ギリシア哲学から現代思想までイッキ読み!
あらすじとイラストでわかる哲学―古代ギリシア哲学から現代思想までイッキ読み!
- 作者: 知的発見!探検隊
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/09/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
時系列になっているのが良かった。歴史的意義が説明されていたり、ある哲学者の主張は前の哲学者の主張を踏襲しているのか、否定しているのか、全体的な潮流がどう変化していったのか、キリスト教が及ぼした影響とは、など。
世界史の授業でちらっと触れた哲学は、「ソクラテス=無知の知!」「プラトン=イデア!」みたいな独立した断片的なものだったけど、このように俯瞰して眺めてみると相互のつながりがあって面白かった。イラストは微妙でした。
図説世界を変えた50の哲学 (シリーズ知の図書館)
- 作者: ジェレミースタンルーム,Jeremy Stangroom,田口未和
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
絵が綺麗だった。
書いてる内容はだいたい前著といっしょ。やはり入門書として全体を網羅しようとすると、各人に与えられる文字数には限りがあって、どうしても抽出されることは似通ってくる。
けど、それはそれでいいと思う。真理とはなにか、正義とはなにか、過去の天才たちが考えた事にじっくり向き合う(すなわち、それぞれを個別で研究して読む)のは、それはそれで筆者との対話といった文脈で意義のあることだけど、なんせ時間がかかる。それは哲学科の人がやってることでしょう。
どんな流れがあって、哲学は今どのようなフェーズにいるのか。メディアや出版社にいいように使われている哲学者の言葉は本来どんな形で語られていたのか、それらを冷静に見れる目が養えればいいのではないかと思う。
感想
哲学者の血のにじむような努力、真理の追求にちょっと触れてみて、これらのどれかに容易に傾倒するのはナンセンスだと思った。
例えば今は「嫌われる勇気」とかにあるようにアドラーの議論が流行ってる気がする。けど、アドラーを踏まえて書かれた本は、もちろん誰かにとっては真実ではあるが、誰にでもあてはまるはずはない。それはアドラーに限らず、「ニッチェの金言」とか、「ジョブズの言葉」とか、「もしドラ」とか、全てに言えることで、それらを理解し生活に落とし込んでいくことは大いに結構だが、なにか一つに固執し、それを唯一の真理だとみなし、他を否定するのは、思考停止と言わざるを得ない。
たとえばこれは数年前の自分がそうだった。
「人を動かす」を読めば、人を動かすための手段は全て心得たと驕り、「7つの習慣」を読めば人生で大切な習慣は全て理解したと勘違いしていた。
もちろんこれらは名著だが、かといって一言一句、全ての人に、全てのシチュエーションに当てはまるものなどあり得ない。
価値があるのは、「自分が共感する考え方」「大切だと思う価値観」「そうありたいと願う理想」といった、主語が自分に限定されたものに限られると思う。
自分が何を好きなのかを知り、それを決して他人に押し付けないようにしたい。